Cleome
「帰れっつーの!」
いくら言っても…足で蹴っても動かない。
邪魔すぎる。

「いいだろ〜宇海の部屋落ち着くし。」
「知らねぇよ!邪魔だって言ってるだろーが!」
「なんだ〜?乙女の恥じらいか?」
「んなわけない!」

霄のペースに完全にハマってくあたし。
諦めるしかないのか…。

あたしはもう何も言わずに布団に入った。

「サムッ。…宇海、布団くれ。」
「いや。布団欲しいなら帰れ。」

ぶつぶつ何か言ってるけど無視。こいつはこんなやつだったな…。
もう寝ることに決めたあたしは、霄の方に背を向けた。

それが間違いだった。

うとうとし始めた時、布団が開いたかと思うと、霄が布団の中に入ってきた。

「ふざけんなー!」
「あったけー。」

ベッドから落とそうとしても、なかなか手強くて落とせない。

「懐かしくね?ちっさい時よく一緒に寝てたよな。」

「分かったから出ろ!セクハラ男!」
「安心しろ、お前に欲情はしねぇよ。」

そんな心配してないし!
何とか追い出そうと頑張っても、出てかない。
さっき蹴るのに体力使いすぎた…。

「じゃ、俺寝るから。」

そう言った数秒後には寝息が聞こえてきた。
寝るのが早いのは小さい頃から変わらないらしい。
 なんで高校生になってまで幼なじみと小さい時みたいに寝ないといけないのか…正直、意味不明。
 あたしは上半身だけ起きると、霄を見た。

「ムカつく寝顔」
 霄の頬をつねってやる。

霄の寝顔を見てると、追い出す気も失せてくる。あたしは布団を頭まで被ると、ため息をついた。

黎斐に行ったら…頼れるのは霄しかいない。琉珂は学年違うから。
それを考えると…これくらい我慢してやるしかないと思う。
あたしと霄の間に何かあるわけないし。
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