Cleome
もうぜってー霄の隣になんて座らない。今度は絶対!

「おね…お兄ちゃん、大丈夫?」
「あーうん…一応」

あたしは途中に立ち寄ったコンビニの前のベンチにぐったりと座っていた。

こっちは引越しの準備とかで五時寝だから寝たいっていうのに、霄はあたしに「あの時の美人は誰?」とか、「その子たちのメルアド教えろよ」とかマジうるさかった。

あたしだけじゃなくて、琉珂とかも迷惑だったと思う。

「お水買ってこようか?」
「いーよ。」
「遠慮しちゃダメだよ。霄君のおごりだから」

琉珂の言葉に霄はそんなこと言ってない!みたいな顔をしたけど、すぐに買いに行った。

「あいつ…いつにもなく素直だし」
「自分でも悪いって思ってるんだよ。きっと」

ついにわかったのか!?…分かってないと思うけどな。

「ほらよ」
戻ってきた霄から水を受け取ると、一口飲む。なんとなくスッキリしたかも。
「琉珂〜」
親父に呼ばれた琉珂は、あたしちに眩しいくらいの笑顔を向けてから親父のとこへ走って行く。
可愛すぎじゃね?

「なぁ…琉珂って…けっこーコワいのな」
「はぁ?何言ってんの、お前」

琉珂のどこがコワいわけ!?意味不明だし!

「あの黒い笑みは……」
「何をぶつぶつ言ってんだよ」

神妙な面持ちで琉珂を見る霄。

「人の弟をいかがわしい目で見るな!」
「見てねえよ!」

ったく…霄に琉珂を任せなくてよかった。
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