Cleome
家から黎斐まで片道二時間。コンビニからは霄も疲れたのか静かになって、あたしはゆっくり眠れた。
あー良かった。

「宇海〜着いたぞ〜」
「……ぁあ゛?」

つんつんとあたしの頬をつっつく親父。はっきりいってウザイ!
「宇海が怒った〜!」
 そう言いながら、母さんに泣き付く親父。お前が子どもか!?
 母さん欝陶しがってるし!

寝起きの機嫌が悪いわけじゃないあたしだけど、こんな風に起こされれば機嫌も悪くなるっつーの。

「ここどこ?」
 窓の外を見ると、どっか金持ちの屋敷の鉄格子で出来た門の前にいた。
「大家の大西さんには言っておいてあるから」
あたしが実は女ってことをか。……つーか、霄と同じ下宿先って…微妙。

……あれ?大西?

「もしかして…里美ん家!?」
そうよ。とあっさり頷いて門を入った。
 あ、そうなんだ…ってか、ここん中!?

建物は洋館みたいなかんじ。家というより…学校とか寮みたい。

「でか…」
それしか言えない。それにしても…雰囲気に圧倒される。何か出そう…。

「ここ、夜外出ると…」
珍しく霄が真剣な顔になった。
「出ると…?」

え?幽霊出る!?おもしれー!

「里華さんに強制連行されるから」

…出るんじゃないのかよ!出る用事なんて無いだろうし関係ねぇな。

まぁ、霄にとっては残念なことかもしれないけどさ。
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