Cleome
そういえば…私立なのに何で学ランなんだ?
あたし的イメージは私立=ブレザー。
や、別にいいけど。こだわりとかあるわけじゃないから。
胸腹巻き、Tシャツ、カッターシャツ、学ラン。
着すぎだと思う。今は春だからいいけど…春と夏の間の微妙な季節はヤバイな。
でも、このくらい着ないとバレる。体格が…さ。
でも、実は琉珂の方が華奢だったりする。
「あ、忘れ物!」
まだ苦しんでいる霄を跨いで部屋に入った。うっかり筆箱忘れるとこだった。
ふと目に映った鏡の前に立って、自分であって自分でない自分を見る。
まだ見慣れない。
前の学校の制服を着たときよりまなぜかしっくりくるのは何でだろう?
それに、わくわくする。
男ばっかりっていうのは不安だけど、不安を通り越してる。
弱気になるなんて、あたしらしくない。
喝を入れるために両頬を叩くと、机の上の鞄をとった。
「男なんて、くそくらえ!」
今日からあたしも男なんだ。こわいことなんて何にもない。
部屋のドアを勢いよく開けて霄を跨いで階段に向かうと、久しぶりに見る生徒会長が。
不意打ちって困る。
「おはよう」
物凄け優しそうでキラキラ効果のつきそうな笑顔で言われても、こちらとしては困るのですが?
「お……はざいまっす!」
うわー変になった。
「妹に聞いた通りおもしろいね」
里美…何言ったんだ?おもしろいって…。
「会長のことも里美に聞いてますよ。優しいって」
お、案外普通に話せてんじゃん。
……手汗はすごいけど。