Cleome
「明日終業式だし、一年の終わりを記念してどこか遊びに行かない…?」
「行く行く。」
「私も行くわ。」

萌華乱入。
妄想の世界から無事脱出したらしい。無事じゃなきゃよかったのに。

「どこ行くー?」
「そうねぇ…あ」
「却下」
「言ってないわ!」

萌華の提案はろくなモノがない。せっかくどこか行っても、萌華は本屋に入り浸ったり。
…本屋で鼻息荒くする美人なんて見たくもない。

「海行こ、海。」
「寒いわよ!」
「さすがに泳げないよ…」
「泳がないって。見に行くだけ。」
「海なんてバスで行けばすぐよ?」

なぜか…見に行きたかった。この町の海を。
いつでも見える。そうだけど、…この一年の最後の思い出にピッタリだ。

「私はいいと思うよ。」
「あそこ…本屋遠いのよね…」
「なら来なくていいよ。里美と2人で行くから」
「私も行くわ!海行きたかったのよ〜」

わざとらしい。

何だかんだ言って仲の良いあたしたちでも、来年度にクラス変わったら話す機会が減ると思う。

ゆっくり話す機会も必要だ。
いっつも萌華と話すと、怒ってばっかだし。
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