堕ちる(仮)
何ヶ月ぶりかに浴びた太陽に私は溶けそうだった。

こんなにも私はちっぽけなんだ。


こんなにも太陽は眩しかったんだ。


太陽に押しつぶされそうな孤独を感じた。


そのとき思った。


「ワタシはヨルでしか生きられない」のだと。


 働いていなかった私は当然貯金なんてない。


もう身を売るだけだと思った。


自然と足は東京に向き、吉原の門を叩いた。


 初めに抱かれたときから何も感じない。


適当に話をあわせ、後は股を開いてじっとしていればよかった。


私に心はなかった。


人間の形をした体があるだけで中身は人形のようにからっぽだった。


ただ生きるためにお金が必要で、働かなければいけないだけだった。


こんな転がり続けた人生で、体を売ってまで生きようとしている自分が本当に不思議だった。


何か希望があると信じていたのだろうか?


世の中は「自殺者が3万人を超えた」と騒いでいるし、自殺サイトはあるし、

“○○自殺をした”というニュースが流れれば真似をする人たちが後を絶たないのに…。
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