【短】空っぽの少年
「い…たい」

「当たり前でしょ…
力の限りひっぱたいたんだから」

険しい眼差しで少年を睨んだ。




少年はうるんだ瞳で
私を見る





「あなた…うちの前に倒れていたのよ」

「僕…が?」

「ええ…あなた名前は?」







「………分からない」

「…は?」

「誰か…分からないんだ」

少年が伏し目がちに呟いた



誰か分からないって…


「…じゃあ家は?」

少年が首を横に振る

「家族は?」

もう一度…






……困ったわね


私は一度ため息をついた。

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