【短】空っぽの少年
「しょうがない…警察に事情を伝えて…」

「え!」

少年の体が跳ねた



「……何」

「いえ…あの…警察は…ちょっと」


――…?


「でも…ご両親とか心配なさるでしょ?」

「……」

少年はうつむいたまま顔をあげない。







――…仕方ないな



「じゃあ…記憶が戻るまでここにいなさい」

私が言うと少年は
えっ?
と顔を上げた。


「ここにいて…いいの?」


「いっとくけど別に下心があるわけじゃないわよ?
変な事をほざいたらすぐに追い出すからね」


少年の表情がぱぁっと明るくなる。


「ありがとう!」

その笑顔に私まで照れた。

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