【短】空っぽの少年
「ところで…あなたの名前は?」

私は少年に問いかけた。


いつまでも少年じゃ…不便だし…






「えっ…と…覚えてません」

シュンとした表情で少年がまたうつむいた。


「じゃあ…名前がなきゃね…」

「…はい?」





この子捨て犬っぽいし…


「ポチは?」

「なんか…
ありきたりですね?」

「そう?…じゃあ…忠犬」

「せめてハチ公の方にしてくださいよ…」


「…タマ」


「それじゃ…猫じゃないですか」


文句が多いやつ…



私は深くため息をついた




「かっこいいのがいいです。」


そして厚かましい…



「そうねぇ…じゃあ」

彼のふわふわの髪が目に入る





「レオ…」

「レオ?」

「あんたライオンぽいから」



立派な鬣をなびかせる…
サバンナの王者…。

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