歌皇~うたのおうさま~
《序章》
「ああ、辞めてやるよ!!」
そう口にした瞬間に感じたのは、不謹慎なほどの爽快感だった。
言ってしまった、というよりも、やっと言えた、そんな感じ。
でもそれはオレだけじゃなくて。
今、目の前にいる三人の表情にも「やっと言ってくれた」と言わんばかりの気配がありありと浮かんでいたから、罪悪感は感じずに済んだ。
沈黙が続く楽屋で、誰一人視線を合わすことなく気まずさを受け流す方法を探していた。
わかったよ。そんな時間はもうこれで終わりにしてやるよ。頭きた。こんな奴らを「大切なメンバー」とか呼んでた自分に。
もう、他に言うことなんて何もない。
「スルガ…」
落書きだらけの薄汚い楽屋のドアに手をかけた時、突っ立ったままでオレを見送る3人の、誰かが名前を呼んだ。
引き止めるとか、そういうんじゃない。あまりにあっけなく交渉が済んで、拍子抜けしただけだろう。
それが判ったからオレは、立ち止まりも振り返りもせずに楽屋を出た。
そう口にした瞬間に感じたのは、不謹慎なほどの爽快感だった。
言ってしまった、というよりも、やっと言えた、そんな感じ。
でもそれはオレだけじゃなくて。
今、目の前にいる三人の表情にも「やっと言ってくれた」と言わんばかりの気配がありありと浮かんでいたから、罪悪感は感じずに済んだ。
沈黙が続く楽屋で、誰一人視線を合わすことなく気まずさを受け流す方法を探していた。
わかったよ。そんな時間はもうこれで終わりにしてやるよ。頭きた。こんな奴らを「大切なメンバー」とか呼んでた自分に。
もう、他に言うことなんて何もない。
「スルガ…」
落書きだらけの薄汚い楽屋のドアに手をかけた時、突っ立ったままでオレを見送る3人の、誰かが名前を呼んだ。
引き止めるとか、そういうんじゃない。あまりにあっけなく交渉が済んで、拍子抜けしただけだろう。
それが判ったからオレは、立ち止まりも振り返りもせずに楽屋を出た。