【短】雨がやんだら
「七先!」
雨の降る、水曜日の朝。
いつものように
みんなを元気づける俺より元気な声に振り向けば
満面の笑みの雫が走って来る。
「お前はまた…」
よほど強い雨じゃないかぎり
傘をさしてこない雫に
俺は今日もため息を漏らす。
「いーじゃん!
あたし、幸せだよ?」
俺がどれほど心配してるかなんて
知らないんだからしかたない。
でも、あまりに無防備なその笑顔に
なんだかいつも、悲しくなるんだ。