うさ耳ダーリン
逃げるなんて、絶対無理だし。


「寒い…」


地下の奥底に位置された悪夢の牢獄は、もちろん日の目を見ることもできず、


身体の芯から冷えていくようだ。


わたしはのろのろとベッドへ移動すると、


床よりは多少マシかなぁくらいの湿ったシーツに寝そべった。


急いで薄い毛布を手繰りよせると、身体に巻き付ける。


「…もういいや。寝よう…」


枕がないのは仕方ないと思う。


ただ、このかび臭さはなんだ!





なんだかんだ愚痴りつつ、長旅の疲れがたまっていたのか意識がとろとろとまどろみはじめる。


…もうちょっと快適な牢屋にして、って国王に言ってみようかなどと、


トンデモナイことを思い付いた時には、幸いにも眠りにおちていたようだ。
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