うさ耳ダーリン


「なっ…!!!!!」



確かにわたしが今までいたのは、有名なお嬢様学校の寄宿舎だったけど―――



「そんな、初めて会った女の子にきききキスするようなロクデナシに言われたくないわ…!」



ゴシゴシと自由な方の手で口をふいてやる。



そんなわたしに、クロウはふっと顔を綻ばせて、



「甘いですねぇ、プリンセスは」



「はぁぁ!?」



相変わらずニコニコとしながら、手の甲に触れるだけのキスをした。



「女王になるには、男を手玉に取るくらいできないと…」



ギラリ、とそこで紅い瞳が光る。



「喰われますよ?」



「…そんな…こと…」



やがて、クロウはわたしから離れると、音もなく立ち上がった。



…あれ…?
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