うさ耳ダーリン


わたしを解放したってことは…



「…殺さないわけ?」



意外な行動に、つい素のまま、目を丸くして尋ねてしまう。



「あまりにあなたが頼りないので、殺す価値もないかなと」



む。



殺されるのは真っ平ごめんだけど、その言われようは傷つく。



しかしクロウはわたしの複雑な表情をからかうように眺めて、



「あなたがもう少し成長するまで待つのも、面白いかなと」



「え?」



―――それまで、誰にもあなたを殺させません



牢獄に有り得ない強風が吹き付け、視界が遮られる。



「…あなた様は、僕の獲物です」



耳元で囁かれて、唇に微かな感触を感じたけれど、



全てが黒い風で掻き消された。
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