うさ耳ダーリン
白い襟に紺色の、質素なワンピース姿のわたしは、


間違ってもこの国の姫、
しかも第一王位継承者であることに、気付かれないとは思う。


ふんわり巻いた、母親ゆずりの紅い髪もこの国では珍しくないし、


…まぁ、見る人が見れば名門校の制服だってわかるだろうけど、


いいとこ、カモがネギしょってのこのこ歩いてる、くらいの認識だと思う。


もちろん、黙ってカツアゲされる気は毛頭ないけど。


「ご安心を。カグラ様はわたくしめが必ずお守り致しますゆえ」


「…………」


…全然、安心できない。


でも事実、今のジルダ国においてわたしの味方は、ベアンを含めて二人しかいないのだ。
< 4 / 28 >

この作品をシェア

pagetop