うさ耳ダーリン
もう一人は、この国において最凶にして最高の父親、


そう、


現ジルダ国の王、その人。


二人しかいないとは言っても、味方千人…むしろそれ以上の力を持っているので、問題はない


…と思う。






「とにかく、ここから先は戦場なんだから」


真剣なわたしを見て、ベアンはニコリと笑った。


「女王になる気…満々ですね」


「あったりまえでしょ?そのために帰ってきたんだから」


出来るかぎりの強気で返す。


「…かなり、大変だと思いますが、それでもやりますか?」


何度も何度も、自分の中で繰り返してきた問いだ。






「やる…やってみせる」






わたしの言葉は、ベアンを満足させられたらしい。


怪しい笑みを浮かべた彼は、


「お供します」


と言って、高くそびえ立つジルダ国の城門を見上げた。
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