うさ耳ダーリン
無邪気な暗殺者
「…なんでこうなるの」
力いっぱい握りしめた鉄格子は、押せども引けどもびくともしない。
十年ぶりの帰還で、牢屋へ直行…
なんの罰ゲームかと、ついついため息が漏れる。
犯罪国家と言われて久しいジルダ国の牢獄は、どんな極悪人でも逃亡できないよう、
造りはいたって頑丈、安心。
一流の魔導師がかけた魔法のプロテクトが、至る所に張り巡らされていて、
おまけに門番には、下手をすると主まで食いちぎってしまうほど、獰猛な悪魔が待ち構えている。
本来なら誇っていいはずの警備が、今はとにかく恨めしい。