妄想ホワイトデー《短編》
コンビニで棚卸しをしている時だった。


歩ちゃんが不意に言ったんだ。


「私もコンタクトにしようかな」


歩ちゃんがコンタクトかぁ…。


…………………。


「だっだめだよ!」


「どうして?」


ライバルが増えるから…そんなこと言えない。


「だってさぁ、コンタクトって目に異物を入れるんだよ?絶対痛いよ?やめたほうがいいって!」


「最初はそうかもしれないけど、すぐ慣れるっていうし。それに…」


「それに…何?」


「うん。オシャレしたいから。この服に眼鏡はちょっとね…って時あるじゃない?」


そう言うと歩ちゃんは俺をちらっと見た。



オシャレしたいから…って。


オシャレしたいから…って!


もしもライバルが増えたらどうするんだよ。



俺の心配を横に、とうとう歩ちゃんは眼鏡を卒業してしまった…。


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