(短編)大好きがいっぱい。



一言も言い返せずに、その場に立ち尽くしたままのアタシ。

涙が出そうだった。

アタシだって―
アタシだって―…

アイツの事が好き。

ずっと、今までアイツだけを見てきたし、いつも思ってきた。

なのに―
何も言い返せない自分が、情けなくて悔しかった。

アタシは、そのまましばらくそこにへたりこみ、動けないでいた。

すると、「―お〜い!沙織…ッ!!やっと見つけたッ!」と言って、遠くの方から満紀が手を振りながらこっちへ向かって来た。

「――みつき・・・」

アタシは、涙ぐんでいた目をゴシゴシ擦って、泣いていたのがバレないようにした。



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