(短編)大好きがいっぱい。
「――…堤!」
クラスメートの一人に呼ばれ、閉じていた目を開けてそっちを見る、アイツ…。
「…何?」
アイツは、寝ていた所を起こされてちょっとご機嫌斜めな低い声で返す。
寝起きの顔に、いつもより低く、ボソッと呟くようなアイツの声。
アタシの大好きなアイツの声…。アイツの顔……。
アタシは、アイツをまともに名前で呼んだ事がない。
何故だか、呼ぶのが照れ臭い、アイツの名前――堤 誠実(つつみ まこと)って。
誠実なんて凄い字でしょ?
ところが、これがまた名前負けしないくらいなかなか誠実な奴で(笑)…優しいんだ。
アタシはアイツが大好き。
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