(短編)大好きがいっぱい。


嫌だよ…そんなの―。

アタシは、泣きたくなって唇を噛み締めた。

由佳里ちゃんは、アタシに気付いたのかこっちへ顔を向けてきた。

すると、それに気付いたアイツもゆっくり振り向いてこっちを見た。

「…ぇ、沙織―?いつからそこに―?」

アイツは、びっくりして目を丸くする。

「―…さっきからいたよ。アンタが気付いてなかっただけじゃん―この鈍感、バカ。」
アタシは、思わずそんな子どもじみた言葉を言っちゃう。

いつも、そう。可愛いくない言葉ばかり出てきてしまう。

可愛いくない態度ばかり取って―不器用で空回りばかり。

バカはアタシだ…。


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