(短編)大好きがいっぱい。
「―ぅ、ん…アタシ…ねッ、アンタ…じゃなくて、誠実が…好き―。ずっと―ずっと、誠実が―大好きだよ…」
アタシは、とぎれとぎれに気持ちを伝えた。
これがアタシの精一杯。
誠実―
ちゃんと名前で呼べた。
呼びづらい名前って思ってたけど、そんな事なかった。
ただ、アタシが呼ばなかっただけなんだ―…。
「―沙織…」
アイツはアタシを見つめ、ポツリと呟く。
「な、何…?」
アタシは、その先に続くアイツの言葉が恐くて、聞きたいような聞きたくないような―複雑な思いでアイツを見た。
ドキドキ…ヤバイ。
今更、緊張してきた。
胸がザワザワうるさい―。
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