葬儀屋少女
少女はうっとりとした表情で、渦巻く黒い塊を見つめる。
そして、噛り付いた。

口端から黒い物が伝う。

「…ごちそうさま。」

少女が口端から滴るものを拭き取ろうとしたときであった。

ペロリ

「なっ…に、するの…!」

青年の舌が少女の口端の黒い物に沿って奔る。

「俺にもお裾分けしてくれたっていいじゃん。」

そう言う青年の口に妖笑が刻まれていた。

「それにここ…ラブホなんだよ?」

「ッ!!」

少女の顔から湯気があがった。
青年の口端が釣り上がる。

恐ろしい形相―…
まさに、死神というに
相応しかった。


「だ、駄目よ!けしからない…。下品だわ。」

「あれ?今のノリだと…」



…ま、いっか。

青年のストレートな
アタックは…まだまだ続く―…


「…さぁっ、行くわよ。」

「はいはい。」

深紅の彼岸花が血におかれる。
少女と青年の後には…
赤い薔薇が舞った。
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