葬儀屋少女
あれから数ヶ月。
俺は、部屋に籠もっていた。
ここは極楽浄土だ。

苦しい思いも、辛い思いも…
なにも、ない。

そう、なにんも。

「にゃー」

また猫。
時々現われる幻覚。

その度に俺は猫をコロス。
大抵の猫は逃げ出すから追い掛けて。

「よ、人間」

幻覚が見える。
金色の艶やかな髪の青年が、
唐突に部屋の中心に現われた。

「お前の罪を裁くときが来たぜ」

青年は、ぱちんと指を鳴らした。
瞬間、景色が移り変わる。

「…ようこそいらして」

何時の間にか、俺の目前には黒い少女がたたずんでいた。

「俺の…つみって、なんだ…」

「さあ?分からないのかしら?」

次の言葉に、俺は
どん底に突き落とされる。

「貴方の存在が罪ですことよ」





< 36 / 43 >

この作品をシェア

pagetop