葬儀屋少女
「ちょっとお嬢さん」

「はい?」

女が振り向くか振り向かないかの瞬間で、青年は女の首をとらえた。

途端、溢れだす紅の血。

ああ、イライラする。

青年は荒々しく女を貪った。

「…なんでだ?」

もしかして、アイツがいけないのか?
…赤井 香奈。

とにかく、俺から
アレを引き剥がすものは、
許さない。

「障害物は、排除しとくか」

真っ赤に染まった口元を拭うと、青年は電柱のてっぺんに飛び上がった。

黒々とした翼が青年の背から勢いよく、飛び出す。

「──死神」

「…え?」

青年の耳に、届いたのは聞き慣れた鈴の音─…。

───チリリン

「産まれたわ…、恨み」

漆黒のドレスを風に揺らし。
少女は、向かい側の電柱のてっぺんにたたずんでいた。




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