葬儀屋少女
チリン、チリリン

「あら、恨みと憎しみ」

少女が黒猫の元へ現れた。
再びあの鈴の音を響かせながら。

「貴方は恨むのと憎むのが多いみたいね。」

少女はぐったりして動かない、黒猫の体をそっと持ち上げた。

「どう?その憎しみと恨みを私にくださらない?さすればちゃんと葬儀してあげてよ。」

少女はしばらく沈黙を守ったあとに、黒猫の体をそっと抱き締めた。

「ありがとう。貴方の魂、死神に預けるわ。」

そう、少女が声にした瞬間。

「食っていいの?」

若く身なりのいい、1人の青年が現れた。
青年の瞳は青、髪は金。

「えぇ。この子は天に受け入れられるでしょう」

そして少女は黒猫の体の中に勢い良く手を入れた。

「幻実と現実の間には魂があるのよ。ココロも…ね。」

そして少女が黒猫の体から手を抜いたとき。
その白い手には血一滴ついていなく、拳には紫色のほよほよした物がにぎられていた。

「苦しみを与えては駄目よ。」

「一息にやるよ。」

そして、少女は安らかな表情になった黒猫を見据えて言う。

「貴方の想い、届けにゆきます」




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