幼かったあの頃
グラウンドに着いた途端バレーを始めた美里と紗枝。

3人で輪になってバレーを始め、私はボールが来る度にドキドキしながらボールを返す…

が、ボールは思うように飛ばずあらゆる方向に…。

それでも美里と紗枝は楽しそうにボールを追っかけるから私も笑顔。

「あっ…。」

またもや変な所にボールを打ってしまってそのままグラウンドの中央の方へ転がってしまった。

「拾ってくる〜!!」

私はボールを追いかけた。

中央の方では男の子達がサッカーをしていて、1人が転がって来るボールに気付いて持ってきてくれた。

あっ、隣のクラスの子だ…。

手前の方のゴールを使ってサッカーをしていたのは同じ学年の男の子達。奥は背が高いから上級生なのだろう。

ボールを拾ってくれたのは美里や紗枝とよく喋っている岡田淳(オカダジュン)だった。

ってことは…

私はサッカーをしている同級生に目を向けた。

…やっぱり…。

そこにはサッカーを楽しそうにしている男の子、高崎拓哉(タカザキタクヤ)がいた。

「おぉーい、淳!!早く戻ってこいよ〜!!」

そう言いながら駆け寄ってきたのは…

「あっ、七海チャン。」

「たっくん…」

「拓哉、知ってるの?」

「同じ掃除区域なんだよね。」

「へぇ〜。俺、淳。たしか里美といつも一緒にいるよな!?名前何だったっけ?」

「私は七海…。」

「七海かぁ。まぁ、よろしく♪」

「うん…。」

「淳、早く戻んないと再開できないじゃん!!」

「おぅ!!じゃあまたな〜七海〜。」

「またね、七海チャン!!」

私は友達から七海って呼び捨てにされたのが初めてで…

里美:「七海ちゃん、どうしたの?」

紗枝:「淳に何か言われた!?」

って言われるまで固まったままだった。

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