幼かったあの頃
体育の時間。

今日は発表会。

マット運動で5つの技を披露することになっている。

前転と後転は必ず入れて残り3つは自分で決めることになっていて、一連の流れと技の綺麗さを評価するらしい。

先生:「発表はクジで1番から。終わらないと次の時間に続きを行います。では1番の人…」

私は32番だから来週かなぁ。

「おい、七海!?何で今日は俺を避けてんだよ?俺が何かしたか?」

たっくんが隣に移動してきて先生にバレないように小さな声で言った。

「そんなんじゃない…」

「じゃあ何でだよ?」

「…」

「何かあるなら言えよ。」

「…たっくんはさぁ…好きな人とかいる?」

「…」

「やっぱいい。今のなし。」

「いるよ。」

「えっ?うそ…」

「でも片思い…かな?」

ってことは愛莉チャンじゃないの?

「ってか急にどうしたんだよ?」

「たっくん、もうすぐ告白されるかもね。」

「はぁ?」

先生:「次、8番の人〜。」

「俺だ…。七海、よく見てろよ?もしかしたら俺に惚れるかもよ(笑)」

先生:「8番は誰ですか〜?」

たっくんはそう言い残して前に出ていった。

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