因 果 応 報【短篇】
ママと俺を残し、三十五にしてこの世を後にした父は、残してはいけないモノまでママに残していったのだ。
幼い他人の幼子と一緒に、虚しくも置いて逝かれたママと父の歳の差は当時十五……一年にも満たない新婚生活であった。
僅か二十歳にして連れ子と共に残された彼女には、湧き上がる欲求を抑えられる術もなく、その悲痛な無念から父と同じ様に異性を執拗に求め、色に堕ちていった。
彼女に父が残した置き土産は、俺と歪んだ愛欲。
人は恋に溺れ現実を見失い、
人は恋に溺れ己すら見失う。