鬼神の舞
「焔…。お前にはその面は似合わぬよ。」
一総は言うと、目を細め穏やかに微笑んだ。
焔は鬼面を通して彼の顔を見つめたが、彼の眼差しの奥には彼女に対する疑念は微塵も見えなかった。
「…どうだ…面を通して何が見える?」
「うん。部屋の隅には膝を揃えて座っている小さな童が…天井の梁には煤舐め(すすなめ)がいて、私達をジッと見下ろしているのが見える。…そうか…この面は、一総以外の者には何の効力もないのだな?」