鬼神の舞
「…私は別に…河太郎の事を怒ってもいないし、罰して欲しいとも思っていない。」
「では、彼に腕を返しても良いのだな?」
一総が念を押す。
その言葉に、焔はこっくりと頷き河太郎の蛇の様な眼を見つめた。
その様子を確かめると、一総は肩の荷を解き中から少し干からびた河太郎の腕を取り出し、それを彼の前に静かに置いた。
「今日の件は、私に対しても戒めだった。もう二度とお前を唆す様な事はせぬよ…すまなかったな。」
一総は、そう言うと河太郎に向かって、頭を下げた。
“一総さまぁ…。”
河太郎は居心地の悪そうな声をあげた後、目の前の腕を耳まで避けた大きな口で咥えると、それを一気に飲み込んだ。