鬼神の舞
ずぽっ
奇妙な音がして、河太郎の体からはニョキリと鱗に覆われた両手が生え彼の体は元に戻った。
“一総様、ありがとう。焔も…ほんとにすまなかったな。”
河太郎は二人に向かって交互に頭を下げ、ばつが悪そうな表情を浮かべ、ツルリとして滑らかな頭の天辺を何度も撫でた。
「河太郎、どうやら宴も終わったらしい。早く塒に戻れ。」
一総は、騒がしくなった母屋の方を首を伸ばして見やると河太郎を急き立てた。
“あぃ。”
河太郎は答えると、庭の池に静かに身を沈めた。
すると、瞬く間に彼の姿は水に溶け見えなくなった。