鬼神の舞

河太郎を見送ると、一総は焔に向き直ると小さく笑みを浮かべた。


「…今日は、大変な一日だったな。…疲れただろう?」

「うん。でも、ぐっすり眠らせて貰ったしもう大丈夫だ。一総の方こそ疲れただろに…。」

そう答える焔の言葉に、一総は楽しげな笑い声をたてた。


「はははっ、焔に身を案じられるとは…これでは、どちらが年上だかわからぬな。大丈夫だよ、多少草臥れたが…今日のは心地よい疲れだ。」

一総は焔に暖かな眼差しを投げかけ答えると、暗い夜空を見上げふっと小さく息を吐いた。
< 134 / 137 >

この作品をシェア

pagetop