鬼神の舞

神鳴の顔が…。

声を頼りに、幾度も思い描いていたその顔が今…彼女の前にある。


夕暮れに激しく降る雨の色の様な銀の髪、鼻梁の整った浅黒い顔。
そこに輝く茜色の瞳は優しい光に満ちていた。


「神鳴ぃ!」

焔は、神鳴の広い懐に飛び込むと彼の首に縋った。



「ありがとう…神鳴。」

「焔、礼など言うな。」


神鳴の言葉に、焔は激しく首を振る。

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