鬼神の舞
ざぶん…。


何処か遠くで水音がした。


誰かの家で人が亡くなったのだわ…。


真白は呟いた。

人は死ぬとその亡骸は路傍や草原、そして川へと捨てられた。
真白が町へ通う途中の道でも、屍を見るのは珍しくなかった。
まだ新しいもの、朽ちたもの…獣の餌になったもの…。
それらを見ても彼女は平気だった。

人はこうして様々な形で土に帰っていく。
それが自然の摂理と言うものなのだろう。

そう思えば怖がる必要など何もなかった。
< 25 / 137 >

この作品をシェア

pagetop