鬼神の舞

-鬼の娘-


ほぅ…。

たなびく雲の隙間から、遥か下界を見下ろし娘は溜息をついた。
彼女の緋色の髪が天を吹き渡る風にあおられゆらゆらと揺らめく。
その様子は、まるで…燃え盛る炎の様だった。



下界はまだ戦が続いているのだろうか…。


彼女は、小さく呟き再び溜息をつく。


私の住んでいた都はどうなったのだろう。

度重なる戦の炎に焼かれ、焦土と化した故郷。

< 3 / 137 >

この作品をシェア

pagetop