鬼神の舞

それにしても、人の世は暫くの間に随分変わった。
焔が住んでいた大きな都は疾うの昔に滅び、今はそこに別な都が栄えていると聞いた。
道々真白が語った事は、彼女にとってまるで御伽噺の様でとても興味のあるものだった。


「焔、明日は急いで町に戻らなくてはならない?」

暖かな雑穀の粥を並んで啜っていた真白が口を開いた。
久々に食べる人の飯を口いっぱいに頬張っていた焔は、慌てて箸を置き胸をトントンと叩きながら首を横に振った。

「町には今日来たばかりだし、奉公先もまだ探していないから…明日は急ぎの用はない。」

焔はそう答えると、残りの粥を一気に喉へと掻っ込んだ。
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