鬼神の舞
どの位時が経ったのだろうか。
やっと痛みが治まった…。
焔は呟くと真白の部屋に戻ろうと立ち上がり踵を返した。
じょり…
じゃりじゃり…。
じゃり…。
納屋の方から奇妙な音が近づいてくる。
こんな夜更けに誰が…焔は首を傾げ、納屋が見える栗の木の陰に隠れ音のする方を窺った。
じょり…。
しゃくしゃく。
“去ぬるぞ…去ぬるぞ…。早よう去ぬるぞ…。”
何かを引きずる様な音に混じって、押し殺した囁く様な声が聞こえる。