鬼神の舞

「こら、待て。そんなに音を立てては家人が起きてしまう。」

焔は慌てて、鍬と鋤を捕まえると両手に抱えた。


“どうだ…見ればわかるじゃろう?自慢の刃は欠け泥がこびり付き…木の柄はがたついて今にも抜けそうじゃ。これでは満足に土も耕せぬわ。”

“情けなくて泣けてくるわぃ…。”

哀れな身の上を語り終えると、付喪神達は手を取り合ってさめざめと泣きだした。


その様子に、焔はふぅと長い息をついた。


「わかった。もう泣くな。お前達の手入れの事は家人に伝えよう。だから今夜は怒りを納めて納屋に戻ってくれ。」

彼女の言葉に、二人は泣くのを止め泣き濡れた顔を見合わせた。


“子鬼、アンタが家人に言ってくれるのか?”

“本当だな?ならば…。”

二人は、頷くと口元に笑みを浮かべた。

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