鬼神の舞
鶏舎の方で、鶏達の羽ばたく音が聞こえた。
“おお、そろそろ一番鳥が鳴くぞ。”
“我らも急いで戻らねばのぅ…。焔、又な…。”
付喪神達は、口々に言うとそそくさと立ち上がり納屋へ向かって歩き出した。
焔は、その後姿を見届けると漸く真白の部屋へ戻った。
真白は相変わらず気持ち良さそうな寝息を立てており、焔はその寝顔をチラリと見ると自分の夜具へ潜り込んだ。
外はもう薄っすらと明るく、東の空と地の境目は仄かに曙色に染まっていた。
こっここー
一番鳥の声が、シンと静まり返った庄に響き渡った。
その声を聞きながら、焔は再び眠りの淵に落ちていった。