鬼神の舞

「うん。実は私の夢に付喪神が出てきて…自分達の手入れが疎かになっていると訴えたんだ。彼らは、このまま放って置くのならここを去ぬると言っていた。」

「それは大変だわ。ここが済んだら早速納屋へ行って確かめましょう。」


真白の言葉に、焔は胸を撫で下ろし安堵の表情を浮かべた。
これで付喪神達が、ここを去る事はないだろう。
キチンと手入れさえしていれば、彼らはいつまでも家に付く。
この庄が、長きに渡り栄えればいい…焔はそう願った。


「それじゃあ、私は納屋に行ってくるわ。焔は朝餉が出来ているから先に行って。」

真白はそういい残し、パタパタと草鞋の音を響かせ庭を駆けていった。



ああ…朝餉か。

焔は、眉を寄せ晴れ渡った空を仰いだ。
昨夜の様な激痛を味わうのはもう御免だ。
もう、人の食べ物には手を出さぬ方が良いだろう。
せめて、煎った雑穀でもあれば…そう思うと焔は嘆息し家人の待つ母屋へ向かった
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