鬼神の舞

-その男、面嫌ひなり-

真白の話によると、宗方一総(むなかたかずさ)は歳は二十歳、都の下級武士の家の次男で長身に浅葱色の直垂、侍鳥帽子が良く似合う若武者だという。
文武に秀で、早くに庄士付きに召抱えられたそうなのだが、元服もとうに過ぎ身を固めても良い頃なのに未だ独り身だそうだ。

その理由を尋ねると、真白は再び口を噤み暫しの間眉間に人差し指を当て考え込んだ。
どうやら言葉を選んでいるらしい。


「…一総様は、少々変わっておいでなの…。」

「変わっている?」

焔の問いに真白は頷き、更に言葉を続けた。

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