鬼神の舞
彼女は答えを探していた。

何故なら、彼女は毎日のように雲間から下界を覗き見るのだが肝心な人の里がその目には映らなかったのだ。

まだ人間だった頃…彼女は戦の炎にまかれ、火蛇の様に身体に這い上がってきた炎に両の目を焼かれた。


その時の名残だろうと、天の仲間達は口々に言った。

「戦か…最近はここへ来る魂の数も随分減った。少しは下界も落ち着きを取り戻したのかもしれぬ。」

神鳴の言葉に、焔の顔がパッと輝き蕾が綻ぶ様な笑顔が浮かんだ。
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