鬼神の舞

「今年も花の出来は良いようだな。春は良い季節だ…花々が生命力に溢れている。」

面から覗く口元が僅かに綻ぶ。
その様子に、梅兼も目を細め何度も首を縦に振った。



「それと…。いつも言うことだが、真白達娘らを彼に近づけてはならぬぞ。」

「はい。お気遣いありがとうございます。」

一総は、彼の言葉に短く答えるとサッと踵を返しその場を去った。



「…一総様も、あのような上役の下で大変だろうに。お心配りの出来たお方だ。」

梅兼は、彼の背中を見送りながら仲間の畑役に言った。


< 74 / 137 >

この作品をシェア

pagetop