鬼神の舞



「ならば…私はもう下界へ降りても良いのだな?」

焔の声は弾んでいた。


「焔…お前は何故そんなに下界へ降りたいんだ?」

神鳴は、長身を屈め焔の両肩に手を置くと彼女の顔を見つめた。
彼は盲(めしい)である事が、未だ信じられぬ焔のキラキラと輝く琥珀色の瞳を覗き込む。


「だって…。それが鬼の務めだから…。」

「務めか…。」

「人は死んで鬼になる。鬼は現世の人を守らねばならない。」

そう言って、焔は誇らしげに胸を反らした。
< 8 / 137 >

この作品をシェア

pagetop