鬼神の舞

ひょーっ、ひょろろろー


梅林を渡る風に乗り、何処からか笛の音が聞こえて来た。
焔は、枝を振る手を止め音の主を確かめる様に辺りをグルリと見渡した。



「この曲は…。」

そう声に出し、焔は慌てて花篭を背負った。
この曲を私は知っている…遠い昔、人だった頃によく聞いた懐かしい曲。

とくん…とくん

焔の胸は高鳴り、体中に熱いものが駆け巡った。


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