鬼神の舞

「この鬼面を恐れぬと言う事は…すでに俺の事は知っているのだな?」

一総は、物怖じしない焔の様子が気に入ったのかいつになく滑らかに言葉を紡いだ。
焔は、彼の言葉に頷くと再び同じ問いを繰り返した。

「一総様、最初に吹いていた曲…貴方は何故あの曲を知っている?」

その言葉に、一総は暫し押し黙った。
たぶん、焔は雲雀翔歌について聞いているのだろう。
“何故この曲を知っているのか?”と、彼女は言う。
この問いにどう答えれば良いのか…彼はそれにふさわしい言葉を捜していた。
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