胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~


「いつだったかなぁ?夜に、駅前の飲み屋街で、ベロベロに酔っ払ってました。目が合ったんで、気付かれたかなって思ったけど、人込みだったんで…」


ベロベロ…?

たっくん…


「お前はどうしてそんな時間にそこにいたんだぁ?そっちの方が怪しい。」


先生は子供を叱る父親みたいになっちゃって…



「…じゃぁ、私はこれで失礼します…」

ぴんきィィは、やばいって顔して部屋から出て行った。



先生は、大きくため息をついた。


「最近の中学生は…何やってんだか…。気付いてると思うけど、さっきの話の男はたっくんだ。」

「ここに…来たの?」


先生は、残りの焼きそばを口いっぱいに頬張って頷いた。


そのことは直も知らないようで、目を丸くしてた。



「中田を混乱させるだけだと思って、言えなかった。たっくんは、俺に相談に来て…まだ間に合うかなって言ってた。だけど、遅かった…」


「たっくん…別れるつもりじゃなかったの?」


先生は遠くを見つめたまま首を縦に振る。



「大丈夫だって…中田は幸せになれるから、安心しろ。」


先生の言葉って…どうしてだろう…

胸の奥に届くんだ。



本当にそうなるような気がする。



「今は、お互い相手のこと考えるいい時間なんだよ。何度別れても、運命の相手ならちゃんと戻ってくる。」


先生は、直の頭に手を乗せる。



たっくん…


たっくんがどんな想いでこの部屋に来たのか…


たっくんがどんな想いで先生に相談に来たのか…



考えると涙が止まらなくなった。
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