胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
今日もきっとバイトには来ない。


私は、たっくんのいないカウンターを見ながらビールジョッキを磨く。



はぁ……


たっくんがいないこの場所は


こんなに寂しいんだね。




来ないってわかってるけど、心のどこかで期待して…裏切られる。



「おっはよぉございます!ゆかり先輩!」

さくらの元気な声で我に返る。


さくらは、先週店長からマニキュアが派手だと怒られて、少しへこんでた。

透明のマニキュアの塗られた指を私の目の前に突き出して、笑う。


「これならいいですよねぇ~??」


洗い場担当の私達は、塗ったマニキュアも一日でハゲちゃうんだよ。

店長はそんなことも知らないで…たまたま落とし忘れてたさくらを叱った。



さくらは、何も聞いてこない。



たっくんのこと、何も聞いてこない。




だけど、私を気遣ってくれてるのがわかる。



「今日、席替えで近くになれたんですぅ!!初めてですよ!」

興奮気味に私のエプロンを引っ張るさくら。


さくらには、好きな男の子がいるんだ。

同じクラスになったばかりの子。


さくらが言うには、かなりかっこいいらしい。

まだ学校の誰にも話していないその恋心は日に日に大きくなっていく。


なんだか、懐かしかった。


高校生に戻りたいなぁ…


なんて思っちゃう。



大好きな人が同じ高校にいるってすごいことだよね。


約束なんてしなくても、


例えフラれちゃっても、


毎日絶対顔が見られるなんて…チョー幸せなことだよ。



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