胸キュンMonday ~甘く切ないすれ違いの恋~
満月が不気味な色をしていた。
黄色とオレンジの間のような色。
月の周りには、白い膜が張ってて、幻想的だった。
春の夜風は気持ちいい。
「さくらぁ…いろいろありがとね。さくらがいなかったら私もうやめてたよ。」
「えぇ?そんなぁ。私何もしてないです。ただ先輩に憧れてるだけですよ。」
私は、何も聞いてこないさくらの手を握った。
「私ね、やっぱりたっくんが好き。」
風に吹かれた木々の音が心地いい。
「良かった…ほんとに良かった。やっぱり先輩には、たっくんしかいないですね。」
少し涙ぐむその横顔を見て、私は誓う。
「私、今度こそもう逃げない。ちゃんと向き合って、傷ついてもいいからたっくんから逃げないから。」
うんうんと頷くさくらは、私の手を握り返す。
「だから、さくらも頑張んなよ。大事な友達ならちゃんと話さないと後悔するよ。好きって思える人に出会うのってすごいことだもん。」
さくらは、私の方を見て首を大きく縦に振った。
「明日、ちゃんと話します。明日から、席も近くなるからきっと私の気持ちどんどん大きくなるもん。」
私もさくらも、心の中は不安でいっぱいだった。
本当は、すごく怖い。
だけど、逃げてちゃ前に進めない。
私は、バイトが終わると急いで、あの場所へ向かった。
たっくんが…
いるかも知れないあの繁華街…